Lucy Got Problems 感想

『Lucy Got Problems』
Flat Chest Dev★★★★★
海外インディーデベロッパーFlat Chest Devによるビジュアルノベル『Lucy Got Problems』を一通りクリアしたのでレビューをば。
総評
娯楽とは世界共通の文化である。人は太古の昔から、歌い、踊り、吟じ、物語ってきた。娯楽という人類の輝かしい叡智の賜物を、好きなように好きなだけ楽しむことが、この牢獄のような世界で生きる私達に許された数少ない慰めなのだ。
リズムに乗るのに言葉は要らない。優れた絵画は見る者の心に雄弁に語りかけてくる。文章を読むのには少しばかりの努力が必要かもしれないが、素晴らしい物語は世界中の人間を一つの夢の世界に誘ってくれる。
そして、美しいおっぱいは私達を笑顔にさせてくれる。
だから、さあ、楽しもう。むちむち褐色サキュバスの愉快でえっちな冒険譚を。
――以下、ネタバレ無しの長文感想へ続く。
抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか? 感想

『抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?』
Qruppo★★★★★
新興ブランドQruppoのデビュー作『抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?』略して #ぬきたし コンプリートしたので早速レビューをば。
総評
セックスは人に見られない所でするもの――私達はそう強く信じているし、現代社会ではそれが正義だ。
その常識は「ドスケベセックスを強く推奨する」という異例の条例が敷かれた「青藍島」では通用しない。公然とセックスをしない者は疎まれ、排斥され、官憲に引き渡されて刑罰を受ける。この島ではそれが正義だ。
このゲームのプレイヤーはそんな異常な島の有り様を笑う。島民の下品な言動を笑う。ゲームのテキストはコミカルに面白おかしく書かれており、実際にバカだなあと笑いながら楽しくプレイできる。
しかし、このエロゲは抜きゲーではない。エロい箱庭世界での愉快なドスケベイベントを消費者に提供することのみを目的としたゲームになってはいない。『抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳(わたし)はどうすりゃいいですか?』という題名通り、常識が逆転した島に生きるキャラクター達、マイノリティの生の歩みを描いた物語なのだ。
18禁でしか許されない題材、オフィスではとても口に出せない言葉を存分に用い、綿密に練られた構成と丁寧な作り込みによって提供される渾身のエンターテインメント。『ぬきたし』は、あらゆる面でプレイヤーを楽しませてくれる、この10年間で最も優れたエロゲの内の一つとして多くの人の記憶に残るだろう。
――以下、ネタバレ無しの長文感想へ続く。
見鏡澄香の制服活動 感想

『見鏡澄香の制服活動』
プレカノ★★★★★
『見鏡澄香の制服活動』読了してました。
総評
彼女は昨日まで子供だった。今日もそう、明日だって。でも、一年後は違う……大人になっていないといけない。
世の中ままならないことばかりだ……彼は諦め、受け入れた。折り合いをつけてそれなりに生きていく。
モラトリアムの不安を抱える「見鏡澄香」と大人びた年下の主人公の男の子との恋物語。それはエモーショナルで、前向きで、ロマンが詰まっていて。小粒ながらとても味わい深い逸品でした。
注意点としては、低価格でもヌキゲーではないどころか全年齢ベースのようなタイトルであること。「手軽なオカズ」というタイプの一般的な低価格エロゲではありません。
「青春」「大学生の彼女」「イイ話」といったものが好きな人に特に薦めたい。
――以下、ネタバレ無しの長文感想へ続く。
鬼がくる。 ~姉がひん死でピンチです~ 感想

『鬼がくる。 ~姉がひん死でピンチです~』
えにしそふと★★★★★-
『鬼がくる。』コンプしました。久しぶりのレビュー記事です。
総評
鬼くるの半分はお姉ちゃんで出来ています。良くも悪くも、お姉ちゃん=晴子の存在感が圧倒的。
それが誰にでも好かれる萌えキャラなら姉萌えゲーですねとニコニコしていられたのだけれど、この姉は、誰にでも好かれるどころか誰にも好かれない道を爆走するタフなお姉ちゃん。
これまでエロゲをプレイしてきて、個別ルートに入っても「攻略したくねぇ」と思ったのはこれが初めてでした。「この女が調子に乗る姿を見たくない」という、エロゲヒロインに対して有り得ない感情……!
でも決して悪いキャラじゃないし嫌いでもない。むしろ好きだ。そう思わせる晴子の魅力を見事に描いてみせた本作はそれだけで一定の価値があります。
それにロリBBA女神とやさしい幼馴染もいるよ。この2人は素直に魅力的なヒロインだよ。ほんとだよ。
また、ストーリーもなかなか良い出来。笑いあり涙あり修羅場あり。長さもほどよい。
個性的なキャラクターも相まって、心に残る作品の一つとなりました。
登場人物全員黒髪なのも特徴的。ヒロインだけでなくキャラ全員ってところが徹底しています。
黒髪映えする落ち着いた色の服装も地味に高ポイント。カラフルないかにもエロゲっぽいそれとは一線を画すビジュアルが、逆に目を引き、本作の長所の一つとなっています。
全体的に大変良く出来たエロゲ。お姉ちゃんの煽りに耐えられるならば、断然おすすめできる傑作です。
――以下、
シルヴァリオ トリニティ 感想

『シルヴァリオ トリニティ』
light★★★★★
lightの燃えゲーの片翼を担う高濱・昏式ラインの新作『シルヴァリオ トリニティ』コンプリートしました。
(→『シルヴァリオ ヴェンデッタ』感想へ)
総評
言いたいことは2つ。
一。面白かった!
初っ端からエンジン全開で開幕、緩急つけながらプレイヤーを引っ張り、最後は満を持しての大盤振る舞い。何はともあれ面白かった楽しかったありがとうございましたで満足しながら終えられました。
二。続編だわこれ。紛れもなく前作からの続き物であり、手を出すのは前作プレイしてからの方がよさそう。
もちろん新規への配慮も見られるし、単体でも楽しめることは間違い無し。でもそれは単純に勿体ない。前作である『シルヴァリオ ヴェンデッタ』と直接繋がる物語だし、前作ネタも大量に出てくるし、そもそもキャッチコピーの「英雄」ってのがもう既にヴェンデッタありきだ。
というわけで、ヴェンデッタのファンなら言うまでもなく買い。もしトリニティから入ったのなら今すぐ前作買うべき。今初めて興味がわいた場合でも、両作品とも良い作品なので、熱いバトルものが好きなら安心して突っ込みましょう。
テキストがクドいとかシナリオの完成度は前作に劣るといった欠点もあるし、シリーズ未経験者に単体で薦められる代物ではないにしろ、ここしばらく出会えていなかった大満足のエロゲであることには違いなく。見事期待に応えてくれて、もうひたすら笑顔になるばかり。楽しかったです。
――以下、ネタバレ無しの長文感想へ続く。