2015/11/30
僕はキミだけを見つめる ~I gaze at only you~ 感想
![]() ![]() | 『僕はキミだけを見つめる』インレ 発売日:2015/11/27 ☆☆☆☆- |
『僕はキミだけを見つめる』クリアしました。
総評
飽きさせないシナリオと小技の光る演出はこれまでのインレ作品と同じ。ChuSinguraの歴史活劇よりもさすがに勢いとキャラクターの魅力は落ちるとはいえ、全体的にスムーズにまとまっていて、コンプリート後の読後感も良好。美しい作品でした。
全体的に多少無理のあるストーリー展開だし、ボリュームのわりに発売前に見せすぎ問題やサブヒロインルート短すぎ問題等もあるものの、なんだかんだで最初から最後まで夢中になってプレイしてしまう強力な誘引力は格別。なかなか読ませるぜ。
もし本作に興味を持ったならば、適当なお店でカートに入れてそのままレジで会計することをオススメ。期待に違わぬ素敵な物語に出会えるはず。
公式にもあるようにいちゃラブゲーではないし、永遠以外の女の子の攻略に期待すると肩透かしをくらう点は注意。また、ネタバレ要素が多いため、プレイ前の情報収集の際にも要注意です。
――以下、ネタバレ無しの長文感想へ続く。
シナリオ
元アウトローの主人公が奇妙な縁から歌姫の護衛をすることになり、慣れない環境に振り回されたり昔の因縁に苦しめられたりしながら、やがて大切な何かを見つけ出す――というお話。
序盤はサスペンスめいたシリアスな雰囲気で、ぐいと引き込まれます。主人公を手引きしているのは誰のどういう意図なのか、暗殺者とは何者なのか。キナ臭さに満ちていてとても刺激的。
永遠のボディガードになった後は一気にアットホームな空間にw こっちが本番か!
永遠とその周りのスタッフとの生活が心地良い。手負いの一匹狼だった主人公がほぐれていくのも、主人公の存在を意識する永遠も、見ていてほっこりします。
そして迎える最終章、その結末。
ネタバレを避けるため抽象的なことだけ書くと、最後はとてもよかったです。(小学生)
とにかく「読ませる」に尽きるシナリオでした。
そこには先が気になる興味深いというポジティブな意味もあるし、そこまで出来自体が良いわけではないというネガティブな意味もあります。都合の良い展開とか日本語の怪しさとか、何かと欠点も散見される、されるけれど……プレイの勢いは止まらない。
この「読ませる」力こそがインレさんの作品の特徴なのでしょう。とにかく力強い。
それは娯楽作品という性質上とても重要な長所で、ぶっちゃけ面白ければ・楽しめれば何でもいいのだから大正義と言えます。ずるい。
体験版に第5章まで収録されており、全体のボリュームが若干少なめなので、「体験版部分を飛ばす」を選択してスタートするとボリュームに物足りなさを感じます。もったいないことをした気がする!
この点についてはストーリー構成と体験版というモノが上手く噛み合ってなかったせいかな。仕方のないことでございますね。
最終章クリア後に開放される、莉亞と郁乃の2人のルートは特に短かった。
内容は似通っていて、要するにセックスするお話w セックスして終わりである。後味も良くない。
これは「いちゃラブゲー」なら糾弾されるべき代物ですが、本作はそうではなく、描こうとしているメインテーマ、「永遠ありき」な点に忠実に貢献していることから、決して悪いものではない。はず。
いくらなんでも不遇すぎじゃね
とか
郁乃の尻をもっと見せて
とか、色々言いたいことはあるにせよ、だ。
キャラクター
零美>七里>アル>永遠>莉亞=郁乃>詩音>美夜その他
零美さんのHシーンが無かったことに失望の色を隠せない。
唯ママとかいう
せめて裸かおしりくらい見せてくれる…ものだと…てっきり……!(号泣)
メインキャラでは七里が素敵でした。
それにアルも最高でした。
どちらも主人公の「仲間」に相応しい魅力的なキャラで。信頼関係を築くまで丁寧に描かれていて。終盤ついに主人公が七里にデレるところなんて胸が熱くなりました。
どっちも男? そんなの些細なことじゃないか。
永遠は作品の核となる奇跡の存在。地獄に咲く一厘の花とか、戦場の天使とか、オタサーの姫とか、そういう王道なヒロイン中のヒロイン。
素直にとてもかわいかったです。向日葵の花言葉もむべなるかな。
莉亞と郁乃は元々攻略ヒロインとして生まれたキャラではないし、セックスするのも物語的には不自然だったのでしょう。ルートが短いのもエンディングがアレなのも当然のことです。
が、それは中身がわかっている上での話であってだな。この二人に期待して買うとしょんぼりすること間違い無しなので「いちゃラブゲーではない」ことをよく肝に銘じて手を出すべきです。
それはともかく、どちらも良いキャラでした。ボイスも二人とも最高だ。
詩音。詩音とは何だったのか?
どうやら同人版にはいなかった新キャラらしい。特に重要な出番があるわけでもなく、ほぼ体験版のお供でしかなかったのが残念です。まあエロがあるだけ恵まれている。
CG
CGは98枚。
Hシーン数は8と少なめではあるものの、一度に使われるCG枚数が多い一点豪華主義。
今回も立ち絵が豊富だったり、細かな差分演出が素晴らしい効果を発揮していたりと、全体的に満足度高いです。零美さんにエロが無かったこと以外はな!
お気に入りのCGは、「永遠の大人っぽいポスター」「あそこにナイフ突っ込まれてる女子」「サーベルタイガー3人の背中」「永遠初体験(パジャマ)」「郁乃初体験(おしり)」「莉亞、咥える」、そして「敬礼」。
そういえば、ちゅーしんぐらキャラみたいな人がカメオ出演してるのがちょっぴり嬉しかったです。芸能ニュースのコメンターとか異様にハマっててw
システム
途中、強制オートモードになるシーンがありました。演出として。
これがゆず茶は大の苦手で、「強制オートは悪」が持論なのでございますが、製作者の意図するところはわからなくもないのがつらいところ。
ただまあ、「映像を見せるならその瞬間瞬間を意味のあるものにしてほしい」と思うのです。漫然と音楽を鳴らしてイメージ映像を流すのではなく。映画やゲームならともかくビジュアルノベルで無茶言うなよ的アレなのは理解してますが。
それと、EDムービーが飛ばせないのも苦手。長いし多いんですw
まとめ
さくっと綺麗に終わってしまった感があり、物足りなさ、寂しさは感じるけれど。それは良作の証でもあって。楽しませてもらったし気持ちよくプレイを終えられました。
とにかく、ここまで読ませるエロゲはなかなか無いぜ。おすすめ。
同人版はプレイしていないので新旧の違いはわかりませんが、少なくとも今も100%通用する、よいエロゲでした。インレさんの次回作がとても楽しみです。
新作マダー?(・∀・)

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レビュー
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