2016/02/11
機関幕末異聞 ラストキャバリエ 感想
![]() ![]() | 『機関幕末異聞 ラストキャバリエ』キャラメルBOX 発売日:2015/12/25 ☆☆☆☆- |
『機関幕末異聞 ラストキャバリエ』コンプしました。
総評
面白かったです。前作『セミラミスの天秤』より好み。
幕末の動乱が舞台の新撰組ものエロゲ。主人公は女装美少年だし主要人物は概ね女体化しているいかにもそれっぽいやつですが、刃傷沙汰はフツーに行われ、敵も味方もダイナミックに死んだりするのでぬるい雰囲気ではありません。それでいて凌辱展開は一切無し。そんな18禁時代劇でした。
女装、スチームパンク、オカルト、新撰組、チャンバラ、歴史if、etc...含まれる要素がとても多い作品。それらが喧嘩せずに一つに収まっていてバラエティ豊かな楽しさがありました。
ただ、薄くなってしまう部分はどうしてもあって。特にスチームパンク要素はほとんどありませんゆえそこに期待はしないように。少し詰め込みすぎたんじゃないかしらと思わなくもない。
とはいえこの規模の作品をよく手頃なサイズにまとめたなと感心してしまうくらいなので満足度は高め。
自分は歴史if物語的な作品として楽しんでました。ADVならではの選択肢によるマルチエンディングとの相性の良さよ。あの時ああいう選択をしたから、あいつが生きてあいつが死んで未来が変わって、みたいな。
エンディングの数は多くはないものの史実(に近い結末)とifの違いが興味深かったです。
歴史ものが嫌いじゃなければおすすめ。なかなか読ませるぜ。
――以下、ネタバレ無しの長文感想へ続く。
シナリオ
美少年が女装をして凄腕の人斬りとなって時代に翻弄されるお話。
物語は史実がベースとなっていて、実際に起こった事件を経ながら話が進みます。たぶん。(幕末詳しくない人)
主人公のモデル沖田総司といえば病弱な最強剣士として有名ですし、「生まれて、生きて、死ぬ」なんてキャッチフレーズからほぼ間違いなく切ない終わり方になるんだろうな、と思っていたら――最初に見たif系ルートがカッ飛んでいたでござる。
修理「セックスすれば元気になる!」
なるほど。(サムズアップしながら)
もちろん予想通りの切ないしんみりエンドもあるし、ハッピーと言えるエンドもある。真ルート的なものは無く(というか史実ベースなので史実が真ルートみたいなものなんだろうけど)、選んだヒロインによって大きく変わる主人公とヒロインと日ノ本の未来。結末の違いがダイナミックで面白かったです。
共通部分が多く、一周目の占める割合が大きい点だとか。芹澤さんが一番魅力的だったんですけど問題だとか。小鳥遊圭さんは一体何事だったのか事件だとか。助けに来たと思ったらすぐ出かけて行って帰ってこなかったラスボス戦の助っ人だとか。
スチームパンクはわざわざ銘打つほどのものじゃなかったし、土壇場でオカルトがメインになるとポカーンとしてしまうChuSinguraと同じアレもあるし、何かとツッコミたくなる部分はあります。
それと、要素が多すぎてごちゃごちゃしてしまって、描きたいものがブレてるような印象も。
なので手放しに褒められる名作というわけではない。
けれど、丁寧且つ落ち着いたテキスト、若干強引ながら論理的に導かれたif展開がなかなか読ませる。それに、時代に翻弄されるキャラの心情、戸惑いはよく伝わってくるし、幕末における「生まれて、生きて、死ぬ」は見事に表現されていました。
一番好みのルートは修理ルート。ちなみに最初に見たEDはその派生の原田・斉藤ED。
気持ちのよい展開だし、なんといっても小鳥遊さんに度肝を抜かれましたね。なんの説明も無かったのもまた驚きw
エロい意味で好みなのはおっぱい2人を侍らすルート。(・ω・)b。
一番心にキたのは伊佐ルート、の最高にカッコいい総紫! あれは惚れますわ……///
キャラクター
芹澤さん>総紫>修理>以庵>伊佐姉>彦斎>龍真>沙乃=一葉>観柳さん>歳姉>考ちゃん
芹澤さんが素晴らし過ぎた。序盤まるまる使って芹澤さんゲーやられてはいたしかたありませぬ。
何故芹澤さんの味方をする選択肢が無いのか。我々は断固芹澤さんルートを要求する!(攘夷派並感)
ヒロイン勢では修理が良かったです。チート並の偉人なんだけど可愛いしカッコいいからOKだ。
その存在感の大きさが印象的。芹澤さんと並んでこの作品の二柱でございますね。
サブキャラである以庵と彦斎がやけに優遇されていたのは嬉しいサプライズ。
特に非処女枠の以庵は大変エロかったです。目元に陰のあるビジュアルもボイスも絶妙でございました。以庵をメインヒロインにしたエロゲを新たに作ろう。金髪処女枠の龍真さんもカレーにおける福神漬けとからっきょうのようなポジションとしてセットで。
かたや観柳さんの冷遇ぶりときたら……。語られそうで特に語られることのなかった観柳さんは不憫かわいい。
お姉ちゃんズもきっちりHなシーンがあったのは嬉しいし、ヒロインとしては異色なエンディングもこの二人においては違和感無し。もしこのゲームを一本道で作るなら二人のどっちかになるんだろうなと。
主人公の総紫。かわいいを通り越して美しかった。(素)
女装した美少年がカッコよくも凄惨な剣劇を見せるとこうも映えるものなのですね。
あと極めてどうでもいいけど正風さんすき。大久保さんの髭もすき。
声
触れてはいけないような気がする歳の中の人に関してはスルーするとして、全体的にとても良かったです。声を張ることの多い伊佐役の神代岬さんや沙乃役の青山ゆかり教育さんはさすがの一言。
修理役の柚原みうさんも大変ハマっていて。なんだか『どらぺこ!』がやりたくなったw
男性陣も安定しておりました。容保公の威厳あるカッコよさときたらもう。
2章に入ると主人公のボイスが突然消えてしまって、公式サイトをよく見たら主人公は「パートボイス」って! き、気づかなかった……。しょんぼりである。でもlightとかの燃えゲーと違って、Hシーンの時は必ずボイスが付くのは新鮮でしたw
まとめ
史実を基に丁寧かつ大胆にストーリーが展開される歴史エンタテイメント。エロスもあるよ。女装もあるけどそれは添え物かな。
粗とか作り切れなかったっぽさがちらりと見えるのが残念ですが完成度は十分と言えると思います。
シナリオとキャラのバランスの良いシナリオゲーという感じか。どっちかに振り切らないのは意外と珍しいタイプ。
全体的に淡々と落ち着いているのが少し惜しい。なんだかテンションが低めというか。芹澤さん周りくらい他も熱くて魅力的だったなら五つ星もいけたかも。
セミラミスの時は好みに合わないライターさんかなと思ったけど今回はそうでもない。よくわからないので次の新作よろしくお願いいたします。
次回作マダー?(・∀・)
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