2016/12/26
スキとスキとでサンカク恋愛 感想
『スキとスキとでサンカク恋愛』
ASa Project★★★
ASa Projectが送るドタバタ三角恋愛ADV『スキとスキとでサンカク恋愛』コンプリートしました。
総評
アサプロといえばギャグ。変顔にパロディネタ、ハイテンションなノリでプレイヤーを爆笑と混沌の渦へ叩き込む――今回そこまで派手ではないとはいえ、確かにその片鱗はありました。変顔もパロネタも多いし、メインコンテンツはギャグですと言っても間違いではない内容のラブコメエロゲ。
ストーリーは、義妹と実妹、幼馴染と先輩、2組の三角恋愛をメインに進みます。が、あくまでそれはテーマであり舞台設定、関係をこじらせてギスギスしたり修羅場や刃傷沙汰には至りません。2016年の疲れた日本人に優しい萌えゲーです。
とっつきやすいし、ストレス無くサンカク恋愛コメディを楽しめるのも悪くない。キャラクターも良いしビジュアルや音楽だって十分なレベル。楽しかったですかと問われれば「はい、楽しかったです」と答えるほかない。でも、どこにも突き抜ける事が無く、すんなりと終わってしまった、そんな微妙な物足りなさが後に残る。
平たく言えば普通。個性的なギャグが目立つけれど、ゲーム内容は極めてフツーのエロゲでした。
特別な欠点があるわけではないので、この作品に興味があって、オタクな登場人物や会話に抵抗が無いなら、買って後悔はしないと思います。サブヒロイン2人も攻略できるし、ボリュームも程よく、イマドキのオタクに向けてよく配慮されたエロゲでした。
――以下、ネタバレ無しの長文感想へ続く。
シナリオ
オタサーで仲間とダラダラしたり女子と夏の思い出を作ったりセックスしたりするお話。
共通パートはなかなか楽しく、オタクトークが鼻につくのと、ちらほらある寒い下ネタに真顔になってしまうことを除けば、賑やかで期待通りに楽しい。
個別パートに入ると雰囲気は概ね変わらず、ただ少しブレーキがかかる場面が増えます。仲間とワイワイやっていたのがトーンダウンし、ヒロインとの「サンカク恋愛」を描いて、セックスへ。
個別はわりとあっさり進んで、テンポよく読み進めていくとスルッとエンディング。時に無駄と言われるシリアス展開も、物語を盛り上げる起伏も無い。目玉である三角関係もストレスフリーを意識したであろう薄さ。
濃厚なイチャラブがあればもう少しキャラ萌えも高まっただろうし、三角関係のあれこれを深く描けばビターかつ印象に残る後味になったことでしょう。しかし本作はどちらもあっさり薄味。決して悪くはない、悪くはないものの、そこに見るべきものが無い。
疲れた現代の日本人に合わせるのもいいけれど。でも、創作物には消費者を引っ張ってほしいんだよ。餌を提供してほしいんじゃなくて、思わず財布の紐を緩めてしまうような眩い何かに出会いたいんだよ。
というよくわからない物足りなさが募りました。何かしら「これは！」と思うような部分があればそんなことはなかったんだけども。オタ要素とパロネタにことごとく引いたり共感できなかったりしたし、メタなギャグもピンとこなかったし、やっぱりアサプロの作風は自分には合わないのかなという部分で引っかかった影響もあるかも。
キャラクター
お気に入り順： 真帆＞志衣菜＞すず＞七瑠
真帆はオアシス。最も真人間で癒される……格ゲーで初心者狩りしたがるところ以外はｗ
何かとフォローしてくれるところが嬉しいんだよね。真帆がいなかったらヒロインのクセが強すぎて食あたりをおこしていたかもしれない。君がいてくれてよかった。
個別ルートはめちゃくちゃ普通で何も言及するところがありませんでした。
志衣菜先輩は良いキャラでした。異常にハイテンションで、謎の好意120％で、かわいい。一体何事なのかと怪訝に思いながらも悪い気はしないやつ。かわいいは正義！
北見六花さんのボイスがまた最高に頭ゆるゆるでとても良かったです。最初は「何を企んでんだこのミステリアス黒ストガールは……」と思ってたのに、声聞いてたら警戒心が消え失せました。うぇーいエロゲエロゲー。あっ俺はSteam意識した最初から一般で出せよ的エロゲも嫌いじゃないな！ だって一般ゲーにエロがついてると思うとテンション上がるじゃん！
すず。実妹。天使枠……かと思ったのも束の間、ちょくちょくキャラがぶっ壊れる不安定な子だった。特に幼馴染＆先輩ルートだとひどいぞｗ 女の子ってこわい。
地味にFPSゲーマー女子というところに好感が持てますな！ 突スナしてそう。
七瑠。義妹。最初から最後までちょいウザでブレない子でございました。
個別ルートは面倒くさい方向に走ってしまって、イチャラブもはっちゃけたノリも乏しかったのが意外でした。壊滅的なテストの点数が発覚したところが最も七瑠が輝いていた場面だと思います。
五十鈴みゆうさんのフリーダムなお声が印象的。ってか全体的にボイス良かったなあこのゲーム。
あくまでオマケのルートとはいえ、サブキャラ勢のカーラと茜先輩も攻略できるのは嬉しい。
それと、特筆すべきは両親の存在です。海外出張にも行ってないし仕事が忙しく滅多に帰ってこないなんてこともない。頻繁に顔を出すし彼女が出来たら一緒に夕飯食べる、っていうか彼女ができるシーンに立ち会ったりもする。アットホーム！
この家庭の雰囲気は手放しで褒めたい。大変心地良く、そして楽しい空間でした。父さんに体位の事教えてもらいたい！
CG
CG枚数はSD絵抜きで70枚強と若干少なめ。
塗りは綺麗だし女の子はかわいい。エロい絵もきちんとエロい。
ただ、構図がイマイチ。この作品全体のパッとしなさは構図の影響もある、んじゃないかな。たぶん。特に斜め構図のやつ。
あと、モザイクがでかい。公式サイトのサンプルCGより一回りでかくて粗いからな！ 「おっモザイク薄いじゃん」なんて騙されるなよ！
別にこのエロゲに限った話じゃないけど、ゲーム製品版より販促CGの方がモザイク薄くて鮮明に見えるってのやめてほしい。
H
Hシーンはメインヒロインが4回、サブが2回ずつ。
どのシーンもテキストのテンションが非Hシーンと同じで比較的シームレスなのが少し印象的。また、初体験シーンではいかにも童貞な主人公の感慨がそこそこ伝わってくるのもよろしい。
まとめ
パロとメタ満載のギャグが特徴の萌えゲー。テンポの良いラブコメディとして問題無く楽しめました。
率先して買うべき理由も避けるべき理由も無い、毒にも薬にもならない的なエロゲ。買ってプレイして満足はしているのだけれど過去に戻ってもう一度買うかと問われたらうーんとならざるを得ない。
アサプロ初体験はそんな結果でございました。
両親と仲良いカッ飛んだ新作ﾏﾀﾞｰ？(・∀・)
＞＞レビュー目次へ
20:51
レビュー
| Comments(2)
そのせいか他の何かがない物足りなさも強く感じられました。
キャラのポテンシャルはあったと思いますし
個別でブースト出来ればもっと満足できたのですが…。
しかし確かに両親がこれだけ出てるゲームって珍しいかも。
この暖かい家族の雰囲気、他のエロゲー主人公にも分けてあげたいです。
これに尽きますね。なんだか消化試合みたいな個別ルートだった気がする……ｗ
後半わーっと盛り上げてほしかったです。
> しかし確かに両親がこれだけ出てるゲームって珍しいかも。
暖かい家庭で育ちました感が出てて大変ほっこりしました(*´ω｀)
でもこの両親、一度離婚経験してるんだなって微妙に奥深さが感じられるのもまたイイｗ
「家庭」がアサプロのもう一つの魅力かもしれません。今後もチェックしていきたい。