2017/10/23

鬼がくる。 ~姉がひん死でピンチです~ 感想

鬼がくる。

『鬼がくる。 ~姉がひん死でピンチです~』

えにしそふと

★★★★★


鬼がくる。~姉がひん死でピンチです~ 初回限定版
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鬼がくる。コンプしました。久しぶりのレビュー記事です。


総評

鬼くるの半分はお姉ちゃんで出来ています。良くも悪くも、お姉ちゃん=晴子の存在感が圧倒的
それが誰にでも好かれる萌えキャラなら姉萌えゲーですねとニコニコしていられたのだけれど、この姉は、誰にでも好かれるどころか誰にも好かれない道を爆走するタフなお姉ちゃん。

これまでエロゲをプレイしてきて、個別ルートに入っても「攻略したくねぇ」と思ったのはこれが初めてでした。「この女が調子に乗る姿を見たくない」という、エロゲヒロインに対して有り得ない感情……!

でも決して悪いキャラじゃないし嫌いでもない。むしろ好きだ。そう思わせる晴子の魅力を見事に描いてみせた本作はそれだけで一定の価値があります。
それにロリBBA女神やさしい幼馴染もいるよ。この2人は素直に魅力的なヒロインだよ。ほんとだよ。

また、ストーリーもなかなか良い出来。笑いあり涙あり修羅場あり。長さもほどよい。
個性的なキャラクターも相まって、心に残る作品の一つとなりました。

登場人物全員黒髪なのも特徴的。ヒロインだけでなくキャラ全員ってところが徹底しています。
黒髪映えする落ち着いた色の服装も地味に高ポイント。カラフルないかにもエロゲっぽいそれとは一線を画すビジュアルが、逆に目を引き、本作の長所の一つとなっています。

全体的に大変良く出来たエロゲ。お姉ちゃんの煽りに耐えられるならば、断然おすすめできる傑作です。

――以下、極力ネタバレ無し ほんのりネタバレ気味の長文感想へ続く。

シナリオ

難病に侵された姉を救ってほしいと神頼みしたらホントに神様出てきちゃって、姉が元気になったのは良いけどそれはそれで厄介だし、神様は居候することになったし、幼馴染みは何故かストーカー化してしまった、どうしてこうなった。というお話。

ラブコメです。姉に振り回され、ロリ神様に振り回され、幼馴染にビビる、そんな日常――
まず、この日常が楽しい。素直に面白いラブコメと言えます。




全編ラブコメの共通ルートが終わると、選択肢でヒロインを選んでその個別ルートへ。

晴子ルートはお姉ちゃんの圧力に屈するルート
毎日の威嚇と求愛行動の努力が実ってものすっっっっっごく調子に乗ったお姉ちゃんを楽しめます。殴りたい、この笑顔。(by 凛々)
また、敗残者となった凛々の無残な姿は涙無しには見られない。
主人公姉弟はラブラブで幸せなはずのに、なぜかプレイしているこちらとしてはバッドエンド的な印象を受けるルートである。おかしいな。二人が楽しそうだからまいっか!

凛々ルートは貧乳幼馴染にバブみを感じてオギャりたい諸君にピッタリなルート。
と同時に、あの姉から弟を取り上げることになるのだから、ザ・修羅場もあります。個人的にはこのルートの晴子がイチオシです。マジギレ晴子に地母神凛々にと、最高にテンションの上がる内容でした。



虚姫ルートは……これはもうプレイするしかない。
使い古された筋書きではあるし、イマドキのユーザーが求めているお話ではないのかもしれない。でも、王道には王道たる所以の良さがあるもので。ただただ「良かった」としか言えない。
でも、エピローグの最後のは蛇足かなあ。やるにしても中途半端だった気がする。


というわけで、鬼くるのシナリオは
暴走姉
修羅場とバブみ
女神

の三本柱となっていました。

印象的だったのは、それら全て、土台がしっかりと存在すること。何故この姉はこんななのか。何故虚姫は主人公の前に姿を現したのか。話の都合で動かされているのではなく、彼らのああいう過去や背景があるから、今こうなっていて自らこう行動しているのだと、プレイヤーが感じられるように描かれています。言い換えると、物語とキャラクターに奥行きがあるのです。
そのため作品世界のリアリティ、実在感が感じられ、もっとこのお話を見ていたい、ずっと彼らと付き合っていたいと思うようになります。なりました。


キャラクター

お気に入り順は 虚姫>晴子=凛々

虚姫が大変素敵でした。
子供っぽい愛くるしさと神の度量を併せ持つ偉大なロリBBA。凛々とはまた違った母性を感じるところも有り。
とにかく常にかわいいんだよね。終始、虚姫には敵わないなと思わせる愛されキャラでした。すき。

晴子は残念でポンコツで弟命のお姉ちゃん。

これまでに貼ってきた画像でわかってもらえると思う。うん、性格最悪なんだ。メガビッチの領域に足を踏み入れてるんだ。
でも、そこがいいんだよ!
晴子がもっと万人受けを考えた、マイルドなブラコンだったとしたらどうだろう? そんなのありふれた存在だし、印象が薄くなるだけな気がする。こんなにも画面キャプチャすることもなく、感想は「よい姉でした」の一言で終わり、作品自体への評価にも影響しそう。
うん、晴子はこれで、いやこれがよいのだ。本人のルートを進めるとイラッとし、嫉妬に狂うシーンでイヤッホオゥ! って思えるキャラが正解だったのだ。ハル姉すき!

凛々は予想外のキャラでした。ストーカーってことで根暗ヤンデレ系だと思ってたら全然違ったw
正義のヒーロータイプでしたわ。正義のヒーローがストーカーっておかしいけど、でもそんな感じ。作中で最も強く、気高く、立派な人間。そんな人がストーカーって明らかにおかしいけど、でもそんな感じなんだよ。
主人公にとっては貴重な友人だし、ユーザーにとってもママになってくれる上に3Pを許してくれる、大変ありがたい存在。凛々すき。
幼馴染のわりに馴染み描写が少なかったのが少し残念。もうちょっと過去が見たかったな。

ちなみに、CVの奥川久美子さんが自身のTwitter「凛々ノート」なる企画を数か月に渡って行っておられました。大変趣き深いから必見。


サブキャラのおっぱい眼鏡ちゃんことも大事な脇役。この作品の良心でありオアシスです。虚姫ルートでは特に。幸ちゃんすき。
サブだし期待薄だけどせめて脱がないかなァなんて思っていたら、早い段階でHシーンを見せてくれました。感謝…圧倒的感謝……!

主人公のハルくんはとても味わい深いキャラクター。
環境って大きいよね。この姉弟は、どうしようもなく、ブラコン・シスコンでしかいられなかったのだなと。そこに手を差し伸べる虚姫が尊く見え、凛々の包容力がありがたく思える。鬼くるの良さの原点は彼にあるのです。
ヘタレだけどしっかりしてて、鈍感だけど誠実で、顔がこわいけど母性をくすぐる、良い主人公でした。


CG

黒い。ヒロイン全員の髪が黒いのはこうも落ち着くものなのか。黒は黒でも青っぽかったりしない濡羽色。落ち着く……これぞ和の心よ……。



CG枚数は74枚+SD。お値段のわりにちょっと少ない。
コミカルなかわいらしさで定評のある泉水いこさんによるSD絵が、CG鑑賞モードで見られないのは残念。



晴子役の葵ゆりさんの熱演が光ります。普段は明るくおバカに、煽る時は小憎たらしく、マジギレした時はおそろしく――キャラクターの想いの伝わってくる名演技でございました。
また、虚姫はかわいらしく、凛々はおもしろくて、どちらも素敵なお声です。
あとクラスメイト女子Aもなんだか気に入ったので今後どこかで聞けることを願って。


パジャマ

晴子と虚姫にパジャマ有り。(虚姫はパジャマというか白襦袢)
共に立ち絵、イベントCG有り。パジャマHは無し。
特筆すべきところは無いものの、記録としてここに残しておきます。




システム

1600×900という珍しい解像度。そこまできてフルHDにしないの!? って感じだけど悪くはないぞ。ありがたいぞ。もちろんそれ以下の画面解像度でも遊べます。ただしウィンドウモード時のサイズは3つの固定値で自由な拡縮は不可。

コンフィグ関連は一通り揃っております。
バックログからのシーンジャンプ無し。また、クリックするとオートモードが途切れるため、気になる人は注意。

あと、パッケージ同梱の複製台本は、各ルートの一番良いシーンが思いっきり書かれているため、クリアしてから見ないと確実に後悔します。要注意。


まとめ

懐かしい感じのスタッフと作風ということで、体験版もやらずに衝動予約買いしてみたら、予想に反して(失礼)とても良く出来ていました。ほぼ非の打ち所が無いし、ずっとプレイしていたくなる。

晴子がどうしても苦手な人はいると思います。その性格の悪さは序盤でよくわかり、後半では暴走が激化したりもするので、ひとまず体験版でチェックした方が無難。
でも、自分みたいに、性格悪いところに愛着がわいたりすることもあるから、体験版部分でウゼェと思っても本編を最後までプレイすればクセになるかもしれないし、むしろ可愛く見えてくるかもしれない。少なくとも、薄っぺらな、属性が服を着たキャラクターじゃない。
だから気になったら買おう。面白いよ。

えにしそふとさんには、この一作だけじゃなくて、次の作品を是非作ってほしい。
刺激的で、楽しくて、心震える、とても良いエロゲをありがとうございました。

ハル姉が嫉妬に狂いまくるFDマダー?(・∀・)

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©えにしそふと
22:36  レビュー | Comments(0)
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