2018/06/07

Steamでエロゲが解禁されたらどうなるのか

2018年6月7日、デジタルコンテンツ販売ストアSteamにおいて販売するゲームを原則的に全て容認する旨の声明が公式ブログに投稿されました。
原文はこちら。ゲーム系メディアのAUTOMATONさんGame*Sparkさんなどが日本語のニュース記事を上げているので詳しくはそちらをご覧くださいませ。

これまではストアに並べるゲームを「ポルノ禁止」「不適切なもの禁止」などと審査していたところを、声明では違法なものと荒らし行為を除いて全て容認すると方針転換を明言しました。

学校の銃乱射事件をテーマにしたFPSが登場して炎上したり、二次元おっぱい弾圧事件で炎上したりといった最近の出来事からの、「判断基準があいまいすぎる」という批判に対する回答がこれ。Steamは様々な案件を一つのガイドラインで審査するのは不可能と判断、例外を除き審査すること自体をやめ、創始者ゲイブ・ニューエルの掲げる方針「オープンなプラットフォーム」に徹することを決断しました。この内容をそのまま受け取ると、「今後(時期は未定)はどんな不謹慎なゲームもハードなポルノゲームもSteamで販売できる」ということになります。

運営元Valveによるこの衝撃的な発表を受けて、海外では早速「無責任すぎる」という批判と賛成派とで賛否両論の騒がしい事態になっている模様。

表現の検閲が無くなったのはゲーマーとしてとても嬉しい、でもゴミみたいなゲームもどきが今以上に増えて良作が埋もれるようなことになりそうで心配、ってかフィルタリングはきちんと機能するのか? 問題が起きた時にValveは耐えられるのか? MOD有料販売の時みたいにすぐさま前言撤回しやしないだろうか? ともあれ判断基準を明確化したのはよいことだと思うし #waifuholocaust をこういう形で終わらせたことは歓迎したい、サンキューゲイブ――

と、この発表自体についてはこれくらいにして、ここはえっちなことに興味のある人向けのブログですゆえ、「もしSteamでエロゲが解禁されたらどうなるか」を予想して妄想を垂れ流して楽しみたいと思います。



Steamを使うメリット

メーカーにとっては、総アカウント数約3億、アクティブユーザー数6700万人以上という大きな市場が何よりも魅力ではないでしょうか。エロゲを遊ぶ可能性があるのはその中のごく一部でも、これまでエロゲを買ったことのない人達にアピールしやすくなる、巨大市場で販売できるのが最大のメリット。

次に、パッケージ版を出さなければ、中古が無くなります。これまでは予約が売上の全てで、発売後も売れるような良作を作っても動くのは中古品ばかりという状況だったのが、セールや作品評価次第で継続的にメーカーにお金が入ってくるようになります。

さらに、Steamは作品ごとにフォーラムとユーザーレビューが設置されていてユーザーとの距離が近く、海外ユーザーは日本人よりもアクティブに発言もするため、フィードバックを得やすい。ただし何かやらかした時の反応もアクティブだけれど。

あと、割れ(海賊版)に対しても今よりはマシになるかな。マルチプレイもリプレイ性もMODも無いビジュアルノベルはそこまで抵抗力上がらない気もするけれど。


ユーザーとしては、単純に利便性が高まります。好きな時にいつでも買ってすぐプレイできるし安く手に入れたければセールを待ってもいい。Steamに一元化することでゲームコレクションの管理が簡単になって、PCを買い換えても楽に移行でき、インストールする時にシリアルキーを打ち込む必要も無く何度でも無制限に再インストールできる。おまけに修正パッチが出たら自動であてておいてくれる。
要するに、プレイするにあたって発生する様々な作業を簡略化できるのです。

他にも、お気に入りのゲームのトレカを集めたり、実績を集めて楽しんだり、フォーラムで質問したり交流したりもできる。認証可能なPCの数に制限が無いので、サブPCとか出先のPCでも遊べる。タブレットやスマホにストリーミングして遊ぶこともできる。

自分の買ったゲームを家族のアカウントと共有できたりもする。プレイしているエロゲがフレンドに通知されて性癖がバレたり、ちょっと画面見せてって言われて許可すればプレイ画面をフレンドに配信しながらシコることもできる。

とっても便利!


在りし日のSteam


DL販売のSteamへの移行

既にSteamでエロゲは売られてます。その多くはエロ要素を外部パッチとして切り離した全年齢版ですが、今回の方針転換でポルノ可になれば外部パッチ方式にしなくてもそのままでOK。エロが切り離せないエロゲならではのタイトルも販売可能。

リリースするだけなら別に英語を入れなくても日本語だけでもいい。私はやったことないけど今は手続きもそれほど難しくない、という話。そうなるとDMMやDLsiteなどと同じようにDL版の販売ストアとして普通に使えそうです。

国内の競合サイトとSteamを比べてみると……DRM標準付属、利便性、安定性、運営会社の規模、フォーラムやレビューなどコミュニティの存在とクオリティ、その他様々な面で、普通に考えると勝負になりません。

しかし、えろげーまーに限ればSteamの認知度はまだまだ。国内ユーザー数は約350万人、全世界で2200万本売れたPUBGが30万本売れた程度には国内で普及してきてはいるもののまだまだ発展途上だし、既にSteamに慣れ親しんだPCゲーマーを除くと、使い慣れた国内ストアをやめて積極的にSteamを使おうとするファンもしばらくの間は少ないでしょう。

また、Steamのポリシーは前述の「オープンなプラットフォーム」と「ゲーマー目線」です。独占契約に反対であることや大規模セールや返金制度などがその例。つまりメーカーに優しくない。ユーザーの支持とそれを基盤とする市場の巨大さをもってメーカーに言うことを聞かせるスタイルです。Valve以外の、特に日本の企業はこの逆の傾向があるので、メーカー側はSteamを敬遠する向きも出るかもしれません。

さらに後述する理由から、DL版のリリースがSteamへ完全移行する可能性は低いと思われます。


価格とボリューム

Steamに紙芝居ゲーを80ドルで出したら海外ユーザーによって絶対に炎上します。開発費何十億円もかけたオープンワールドやFPSの新作AAAタイトルの定価が60ドルです。ビジュアルノベルは新作でも10~20ドル程度が多く、最近躍進がめざましい中国産なんて5ドル以下が基本。

翻訳するのならば当然ローカライズコストが発生します。ビジュアルノベルの翻訳についてはよく知らないけれど、名の知れたローカライズ会社を使ったゲーム翻訳の場合、一般的なフルプライスエロゲのテキスト量だと翻訳料だけで700~2000万円程度かかります。デバッグなど他の作業は別料金で。(いくつかフルプラ翻訳版が既に出ていることを考えるとエロゲ翻訳業者はもっと安いのかな)

(ちなみに海外インディーゲー界隈では英語以外は「Fan Translation = 有志翻訳」前提――翻訳ボランティアを募集したり、テキストデータを編集しやすい形で実装しておいて、他の言語はユーザーみんなで対応させてね! 連絡くれたらそれ実装するよ! という方法がよく取られています。エロゲの有志翻訳コミュニティも存在するので、低予算でリリースを狙うならあるいはこういう選択肢もアリかもですね)

というわけで、外国語の入ったフルプライスの新作エロゲがSteamに登場することはほとんど無さそう。市場の推移と新作開発時にSteam販売を前提とするかどうか次第ですが、現状が変わるとしたらロープライス作品が増えるというか主流になりそうです。

テキスト量を抑えたゲーム重視のエロゲが増えるという可能性は……そういうの作れる人が少なそうだからあんま無いんじゃないかな。(適当)
同人エロゲの存在感が大きくなるかもしれない。


おま国の危険

性器の画像・映像にモザイクをかけているのは日本だけです。海外ビジュアルノベルユーザーには「モザイクがあるなら買わない」という層がいて、英語のコミュニティを見ているとその発言力は増している印象があります。エロゲの海外版がリリースされる際、ノーモザイクであることがあらかじめアピールされることも増えました。

日本の企業が日本人に無修正を売ると刑務所にブチこまれるため、海外版エロゲを販売しているストアのほぼ全てが日本からのアクセスを遮断し、国産エロゲの海外版の外部パッチも日本からは原則入手できません。

そしてSteamではメーカーがリージョンロック=特定の地域からの購入を制限すること――通称「おま国」(「売ってるがお前の国籍が気に入らない」の略)ができます。つまり、「日本人にだけは売らない」という行為が可能だということ。(逆に日本以外をブロックして日本専用版を売ることも可能)

そこに「ウチで独占販売にしてくれたらお金あげるよ」なんて囁かれて、「いや、我々はユーザーの選択の自由を尊重したい。それを望むファンのためにもSteamで日本人向けにも売るつもりだ」と言えるエロゲ会社がどれだけあるでしょうか?

Steamは海外向けだから日本人は国内ストアで日本専用版を割高で買ってね☆(ゝω・)v というケースが増えそうです。


リージョンロックという悪行


リスク

海外は日本と比べて児童ポルノに厳しい。日本のエロ同人誌を所有しているだけで問答無用でブチこまれる地域もあるし、欧米の女性の人権に関する団体も元気で強力です。ある程度エロゲ歴の長い人間なら「またレイプレイ騒動の時のようなおそれが」と思うことでしょう。見た目は未成年なヒロインのポルノゲームがSteamに進出し目立つことで、最悪の場合、海外から騒ぎになった結果国内での表現規制にもつながりかねません。

二次元美少女を嫌うゲーマーも少なくなく、Steamを利用する彼らのヘイト攻撃に晒される危険もあります。

そして、一企業でしかないValveはいつでも方針転換できるということも先日思い知らされたばかり。「道が開けたと思った翌日には閉ざされていた」なんてこともあり得ます。

あと、DL版がメインになると小売店が滅びます。働いてる人はつらそう。


まとめ

以上を要約すると
今の日本のファンにとって嬉しいことはあんまり無いんじゃね?
(゚Д゚)。
※あくまで個人がネット上の情報と自身の経験をもとに短時間で考えた適当な予想です

ローカライズのハードルは高い上に、国内向けだけを考えるとメーカーにとってそこまで大きなメリットが無く、結局状況は変わらない可能性も高い。ってかこれが本命。DL版を買えるストアが1個増えるかも、程度?

もっとこう、「Steamのエロゲ解禁で業界が盛り上がってネコぱらみたいな開発者もユーザーも大満足なビジュアルノベルドリームが次々と!」みたいな夢を見たかったのに……あんま楽しくなかった……。

ただ、微妙な結論に終わった日本のエロゲとは対照的に、海外産のビジュアルノベルやえっちなゲームは順当に盛り上がりそう。
コンソールやモバイルゲームと同じように、このジャンルでも和ゲーはガラパゴス化しいずれ洋ゲーの後塵を拝すことになるのでしょうか。

とりあえず『HuniePop 2』楽しみ!(恒例のオチ)


22:28  日記・雑記 | Comments(0)
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