2011/03/01
アルテミスブルー 感想
![]() Amazon.jp | 『アルテミスブルー』あっぷりけ -妹- 発売日:2011/2/24 ☆☆☆☆+ |
『アルテミスブルー』クリアしました。
ネタバレは極力無くしつつ、感想のようなレビューのようなモノをつらつらと。
→ネタバレ感想追加しました
総評
非常に良質な、まるで一本の映画やドラマシリーズのよう。
笑いあり感動あり燃えあり。大変面白かったです。
評価を☆5つの神ゲー認定するかすごく迷いました。ラストが少し不満だったのと、王道ゆえかそこまで飛び抜けてビビっとくる何かは無かったので僅差の星4つ。+はもちろんアリーでできていますw
「ハートフル・ライトSFコメディ」というジャンルそのものという感じでした。
その名の通りライトでハートフルな物語で、往年の映画やTVドラマ的要素が強め。小ネタも多いです。その手のモノが好きな人にはかなりオススメ。
※追記:特に映画「ライトスタッフ」は必見。観なくてもゲームは問題なく楽しめますが、本作の半分はこの映画で出来てます。プレイ後でいいので、是非。
体験版が気に入れば確実に楽しめるはず。ちなみに体験版は3章を絶対にプレイするべき。アリー的に考えて。
また、分岐無しの一本道ですが、一つの章が非常に長いのでボリュームは十分にあります。
こういうのがたまに出てくるからエロゲというものの懐の深さは侮れない。
逆に、一般的な「エロゲらしさ」を求めている方には合わないと思うので注意。
――以下長文感想へ続く。
シナリオ
現代の竜宮城である江戸湾ズ空港。飛行機野郎とビッチのたむろするそこに飛び込む若き女パイロットと、傷ついた羽を休めくすぶるイカロスの物語。
純粋で熱血で大人に「なりつつある」ハル。曲者揃いながら立派な「大人」である江戸湾ズの面々。そして大人びた6歳児アリー。
彼らが本当に魅力的で。いちいち良い話で。最高の雰囲気なのです。
が、この『アルテミスブルー』にはSF設定があります。人類を拒絶する空に挑戦する人達の存在が。単にいい人たちのアットホームなお話だけでは終わらないのです。
前者ではハルが主役だったけれど、後者の空への挑戦は桂馬の戦場。実は女性主人公というよりもハルと桂馬のダブル主人公なゲームでした。
そしてそのどちらのストーリーも泣けて燃えて。心揺さぶられて。
ただ、ラストには少し物足りなさが。
余分な所バッサリ切って洗練されたラスト…ってちょっとやりすぎじゃね?みたいな。
ハルの出番が少ないのも終わり方も理解できるのだけれど。多少蛇足でもくどくても、それまでの章と同じように感情揺さぶられる映画のようなクライマックスを期待してしまうんです。や、あっさり目で終わる映画も多いから映画的というのもアレなんですが。これは好みの問題かなぁ。
ちなみにラストに関してはライターの井上啓二氏のブログで解説がなされてます。(※超ネタバレ)
※追記:ついでに自分も書いてみました。→ネタバレ感想
あと、大変化の原因が明かされると思ってたので最後まで未解明なのは拍子抜けでした。
そこはもう完全に「よくわからない魔法のようなもの」設定なのねw
ともあれ、面白かったのは確か。いいお話でした。
キャラクター
ビッチ揃い。(゚Д゚)。
エロゲ的な女の子が一人もいなくて。それに男女関係がリアルというかドラマっぽいというか。
そもそも平均年齢がスゴい。アリーを除けば、最年少のハルが19歳、お次は23歳の娼婦マリア。草間ツインズはたぶん30前後でサラと亜希子さんが33歳。ちなみに桂馬さん37歳。
処女好きや学生好きが裸足で逃げ出すこの面子!しかも「抱いて!」→セックスという流れが多いので恥じらいもへったくれもありゃしない。
まぁ個人的にはオールOKなんですが。(・ω・)b。
主人公でヒロインのハル。
ぶっちゃけハルは人間としてはすごく良いけど恋愛に関しては大分アレよね…少女マンガの主人公的すぎよね…。星野さんに感情移入したゆず茶は途中やり切れない思いがかなりw
でもハルはプレイヤーの涙腺攻撃時には極めて良い仕事をします。持ち前の熱血とアリー上等兵との連携によってダムを決壊させることしばしば。
恋愛ヘタレな点以外はすごくすごく魅力的な主人公。アリーが非常に強力とはいえ、ハル無しではお話は進まないしアリーも輝きません。ハルあってのアルテミスブルーは、まさにハルゲー。
もう一人の主人公桂馬。
立ち絵のせいもあって2章まではあまり良い印象が無かったんですが、3章以降右肩上がりで好感度アップ。6章では名実共に完全に主人公。素晴らしく良いキャラです。
普段無口な彼、搭乗時とHシーン時は比較的よく喋ります。さすが空と酒と女を愛するパイロットの中のパイロット!( ´∀`)。
しかも彼、好きな体位はバックということでHCGもバックの構図が多いんです。桂馬さんはホント男の中の男だぜ!(サムズアップで歯を光らせながら)
そして我らがアリー。
アリーが超可愛い。ひたすらに可愛い。
製作者もよーくわかってるようで、特典CDのシナリオもアリーのエピソードだし、アリーの立ち絵つきお着替え回数が妙に多いし(ハロウィンアリーは至高)、イベントCGもアリーの登場回数がやたら多いし、最後にはアリーの見せ場まであるし……アリー無双でございます。
口調がルー大柴状態なのはご愛嬌。
それにしても、エロゲのはずなのにエロス要素皆無でこの最萌ポジション。アリーは奇跡。(真顔)
当然ゆず茶の購入店舗はバニーガールアリーに釣られてSofmapです。(`・ω・)。
亜希子さん、JJも素敵な仲間で。久保航空運輸の空気はホント良い。
亜希子さんは多くの男の理想の女性像なんだろなぁ。たまらんね。33歳だけど。
JJは、欲しい。(゚Д゚)。
あとハルのお父さんが妙に良かったです。というよりも、ドナルドさんとの一幕後のハルの家庭が。
アリーの可愛さもハルあってのものだし、キャラ同士の関係がキャラの魅力につながっている、なんというかすごく好ましい状態。いいなぁ。
CG
原画はちょっと不安定というか癖があるというか。(婉曲的表現)
でもお尻は素晴らしい。お尻絵師の称号を授けよう。
塗りもすごく良いと思います。腹筋は割れすぎててアレだけども。
音楽
このゲームの感動の半分はBGM効果なんじゃないかしら。うまく盛り上げてくれます。
途中、第二のOPのところとか最終章終盤とかで混線が起こったのは自分だけでしょか。BGMが2曲重なって流れる不具合?がありました。同じ報告見かけないからうちだけなのかな。
声
ハル役の小倉結衣さんの熱演が光っています。すごく気合の入った演技で大変好ましい。
…のだけれど。個人的にはちょっと怖くて苦手w 熱入りすぎてて声がコワイよー。
でも好き。怖くて苦手だけど好き。力の入った演技はいいものです。
桂馬役のこんつさん、アリー役の雪都さお梨さん、亜希子役の大波こなみさんもすごく良かったです。JJも草間ツインズもマリアもローズもトニーも。というか皆か。
ボイスもこの作品の大きな魅力だと思います。
H
なんだかやたら濃ゆい気がするんです。おしっこやアヘ顔を見た気もするんです。
何かタガが外れたかのようなHシーンでしたw
それがメインのゲームではないのに、そこはエロゲとしてのプライドなんだろか。
まとめ
世界の謎に突っ込んでいくタイプではなく、あくまで人が主体のドラマ。最後がさっくりしてたりいくらか粗が見えるものの、全体的によく出来た良作だと思います。
みんなの嫁、ハル。みんなの娘、アリー。その他の誰もが素敵なキャラクター達で雰囲気も最高で。終わらせるのがもったいない、ずっと江戸湾ズに浸っていたい、そんな作品でした。
2011年初頭にして今年一番のお気に入り有力候補です。大変面白かった。
ライターさんのブログによると、次の企画もあかべぇで製作中だとか。超期待。
アリーが主人公の続編マダー?(・∀・)

>>レビュー目次へ
(※2011 7/13 追記)(※ネタバレ)
ラストを始めとして、もう少し深くまで理解するため、自分なりにストーリーについての感想をちょろっと詳しく書いてみます。
本作のストーリーは「人の生き方」というテーマが一貫して通っています。その答えをハルと桂馬の物語を通して提示していました。
ハルは、大人の一歩手前=子供の状態から、桂馬、アリー、マリアなど、江戸湾ズの人々との触れ合いと共にパイロット経験を積み、迷いに迷った末、物語終盤には生きる場所を自分で見つけられる「大人」になりました。ハルのドラマはその成長譚にあり、大空への挑戦は彼女のお話の終着点ではありません。また、桂馬の傍には亜希子がおり、その深さの前にハルの恋は決して叶わぬものだったのです。失恋の一つもしてないと大人の女とは言えねーってことです。(゚Д゚)。
桂馬の話は、過去の経験により心に傷を負いくすぶっていたところ、ハルという新しい風で目を覚まし、ついに再起し自分の生きる場所へ回帰する、というものでした。そこにはダイダロスプロジェクトもハルの存在も居場所は無く、ただ自分と大空があるのみ。そして過去に決着をつけ地上へ戻った桂馬は、「人は自分を必要としてくれる、真に大切な誰かのために生きるべきだ」という言葉の通り、亜希子の傍を生きる場所として(ようやく)選んだのです。
イカロスではなくダイダロスが空を制覇したのは、映画のオマージュが大きそう。ライトスタッフ参照。
なのでダイダロスプロジェクトの存在は作者の構想の最初から必要不可欠だったはず。
作者の中では当たり前すぎたせいなのか、ダイダロスプロジェクトとその関係者の描写が足りていなかった感はあります。建夫はハルの話に乗っかるならもっと仕事の話をすべきw
多くの人がラストに悪印象や違和感を持ってしまった原因は、「起承」では同一直線状にあった、上述のテーマと表層のエンターテイメント的お話が、終着点「結」の違いにより「転」で決定的に袂を分かったせいだと思います。潜伏していたテーマが(ちょくちょく顔は出してましたが)急浮上してメインストーリーを持っていったせいで、予測していなかったプレイヤーは戸惑ってしまった。
この辺りはもう少し上手いやり方はあったんじゃないかという気はします。
(あと強制オートモードは如何ともし難い)(ゆず茶の膀胱に謝れと言いたい)
ともあれ、そのように物語構成を理解していると、『アルテミスブルー』をもっともっと楽しめると思います。ラストについても不満や好き嫌いはあっても、何故そうなるのか理解できないとか、ハルが同乗してない意味がわからない、みたいなことは無くなるはず。
本作はある意味スルメゲーでした。スタンダードなエロゲとはとことん違います。
あとアリーはやっぱり最高に可愛い。
Comment