2011/05/02
穢翼のユースティア 感想
![]() Amazon.jp | 『穢翼のユースティア』オーガスト 発売日:2011/4/28 ☆☆☆☆ |
『穢翼のユースティア』 クリアしました。
大ボリュームの大作かと思いきやそれほどでもなかった。ルート分岐が途中下車系なせいか。
最初にフィオネを攻略しようとしてたのに選択肢でミスってしまい、続く他の子のフラグをへし折ってたらグランドエンドに辿り着いていたでござる。(゚Д゚)。
総評
期待通りの安定感、完成度の高さでした。どこを見ても大きく外さず、安心して楽しめる出来。
しかし、思っていたよりもライトなファンタジーでした。シリアスで重い話には違いないのだけれど、圧し掛かってくるような陰鬱さが少ない。ストーリーも王道中の王道。一見したよりも非常にとっつきやすい印象を受けました。こういうのをライトノベル的というんでしょか。
そこを物足りないと見るか、逆に評価するかは好みの分かれるところ。
この手のシリアス物が好きな人にも、そうでなくとも本作が気になる人にもわりとおすすめできる、間口の広い作品。CGも音楽もシステム面も高いレベルで隙の無い作りはさすが。
今までと比べて、カリスマ的な萌えを誇るキャラが見当たらないのが唯一弱い所かもしれません。(オーガストの他作品をプレイしてない人間の目から見て)
ともあれ、なかなかに面白かったです。
――以下長文感想へ続く。
シナリオ
――血と腐敗の臭い満ちる「牢獄」、権力闘争にあけくれる貴族達、そして終末の足音の聞こえる世界。牢獄の殺し屋上がりで何でも屋の主人公は、今日も組織からの依頼を果たす――
こんな設定を見ると、どんだけダークでハードボイルドな話が、と身構えてしまうけれど、本作は「18禁ゲーム(性的な意味で)」でございます。可愛い女の子が満載です。安心してね!
特に後半は、ダークさが薄れファンタジー色が強めに。この点、壮大さと引き換えに色々と取りこぼした物も多い気がします。
一本のメインシナリオと途中で横道に逸れるヒロイン個別ルートという構成ゆえ、攻略順は個別ルートからの方が良さそう。つまりティアは最後にとっておくべき。ゆず茶は上述の通りいきなりメインに特攻したけどな!
攻略順は自分で考えず、フラグが立ったら順番に回収していくのが正解かも。
お話は正直どこかで見たような展開が多かった。まさに王道というやつ。
しかしむしろ、王道ゆえの良さというものを再確認させられたとも。先がわかりきってはいても、盛り上がるし感動できるものこそ王道。決して悪いものではないと思います。
しかしそれゆえにストーリーを読み進めていく上でのサプライズはほとんど無し。
教科書通りの道筋をきちんと辿っていく感じでした。
キャラクターが大人しかったのも大きいかもしれない。特に主人公はストーリーに動かされてる感が強かったです。クライマックスも含めて。
ヒロイン達も、他のヒロインがメインの章では出番が少なかったのが寂しかった。
テキストは丁寧でなかなか上手いのだけれど、重厚な物語構築と、その中でキャラクターを動かすのは若干拙いかなという印象を受けました。しかしこれ以上を望むのは贅沢すぎるか。
これ、ダブル主人公にしたら面白かったんじゃないかしら、とふと思った。
キャラクター
お話的にはティアがメインヒロイン。でもティア無双というわけでもなく、満遍なく良いキャラ達。
個人的には…コレといったお気に入りはいないかなー。
っていうかめんどくさい!めんどくさい子ばかりだよ!エリスのめんどくささは異常!だがそれがいい。
いつの間にかカイムさんが説教キャラになってしまってるのが面白かったw
(´・ω・)<ヒロイン達に説教していたら自分を見失ったでござる の巻
イレーヌとリシアが予想外に良かった。
イレーヌは意外な強気っ娘ぶりが、リシアは覚醒するまでの甘えっぷりが。リシアは無理して王様にならなくていいよー。じいやの言う通り。
エリスは嫁ポジションを保っていたのが中盤までだったのが惜しい。
出番が減り、メインストーリーをクリアする頃には印象が薄れてしまっていました。最初が強烈だっただけに。仕方ないけど残念。
システィナさんの忠犬っぷりは大変良かったです。不覚にもカップル萌え。
ルキウスとシスティナのスピンアウトとかアリだと思います!
メルト。メルトは素敵ですね。
ヴィノレタでメルトやジークやエリスなんかとガヤガヤやってる雰囲気はかなり良かった。ユースティアの「魅力的な世界観」というやつは間違いなくここだと思う。牢獄の、ヴィノレタ。
ゆず茶注目のラングさんは、第一印象通りの人でした。(´・ω・`)。
思ったよりも派手だったのは良かったのか悪かったのかw そりゃ壁紙にならんわ…ラングさんおつかれさまでした。おまえさんのこと、嫌いじゃなかったぜ。
声
ラヴィリアの声が妙に印象的。この人いいなぁ。桐谷華さん。要チェックやで。
あまり馴染みのないお名前が多いけれど、サブキャラに至るまで名演揃い。感情の起伏の表現が特に。
システム
言う事無し。豊富なコンフィグ項目に加え、マウスジェスチャーまで完備には恐れ入ります。
起動が遅いのはちょっとアレ。プロテクト関係?
ワイド画面だけどスクウェアモニタ用にメッセージウィンドウを画面下部に配置できるのも素晴らしい。この機能、体験版ではワイドモニタでプレイしたので気づかなかった。
ういんどみるのCS2にもあったけど、これはCGにメッセージがかぶらなくて見やすくていいですね。
まとめ
これという欠点の無い良作だと思います。
ただしシナリオの評価は個人的にはそこまで高くない。どうも雰囲気や展開に底の浅さを感じてしまって。とはいえ、それでも普通以上に楽しめたのは変わりません。燃えるところはしっかり燃えて、悲劇には確かに胸を打たれて。
そして女の子は可愛くて。
全体を見ると、やはり前評判通りの安定度、堅実さでした。

>>レビュー目次へ
Comment