2014/07/15
セミラミスの天秤 感想
![]() ![]() | 『セミラミスの天秤』キャラメルBOX 発売日:2014/6/27 ☆☆☆+ |
キャラメルBOX久々の新作、『セミラミスの天秤』コンプしました。(細かい分岐は見逃しているかも)
全てを理解しきれていなくて、そんな状態でレビューするのはどうかなあと思いつつ、でも何か書いておきたかったので適当にやってみます。
総評
面白かったです。話の面白さは今年プレイした中でトップクラス。
この作品は愛生ゲーであり、彼女の行いを振り回されながら見ていくゲーム。その強かで刺激的な行動も、脇を固めるキャラクターのエピソードも、ヒロイン個別のお話も、はっきりと面白い。
では何故評価が伸びないのかというと、テンションが上がらなかったから。(´・ω・)。
その理由は、まず、愛生というキャラクターが最後まで気に入らなかったこと。(好みの問題)
また本作はシナリオゲーの部類で、深い考察も楽しめる作品。でも、私はそこまで至れませんでした。そのつもりでプレイしていなかったせいもあるし、そういう気にならなかったんです。後は読者自身で考えて楽しんでくれって形にするには、そのための魅力と導線がイマイチな気がします。
そして、スキップの遅さ。
攻略が難しい+スキップが使いにくい=だるい
最初はなんともなくても、周回するごとに増大していくこのストレス、かなりプレイ意欲を削ぎました。
これらの影響で、誰かに薦めたいとまでは思えない。だから星3つ。
しかし、取り立ててダメな所はスキップ以外には無く。何も考えていなくとも面白いと思えるシナリオだったし、箱庭のような作品世界が上手く出来てて引き込まれたし、芙美香はかわいいし、愛生がエロい。良い部分の方が圧倒的に多いです。
結局のところ、ノリきれなかったけれど興味深い作品でした。
物語の面白さを求める人には合うはず。PVでわかる通り、ダークな要素が少しだけあるので、純愛萌えゲー専門のプレイヤーは注意。
――以下、ネタバレ無しの長文感想へ続く。
シナリオ
わりと難しい話もありつつ、有り難いことにかなりの部分は頭空っぽで読んでいても楽しめます。
愛生の所業にうへぇとなったり、映瑠先輩の倫理観にうへぇとなったり、BADエンドにうへぇとなったりと、とっても刺激的。(゚Д゚)。
それより先の深い部分については、正直さっぱりわからんちん。
総評に書いた通り、本気で考察しようというモチベーションもわいてこない。そこが弱いといえば弱い、と言えるのでしょうか。
共通パートの「愛生の悪魔な日常」(勝手に命名)の部分が多く、愛生に振り回される日々を生きる内容なのに、愛生の考えと行動が好きになれないせいでどうも微妙でした。
学園という小さな社会で、稀代の傑物である愛生が何かとやらかすお話なわけですが、一体何が楽しくてそんな面倒くさいことをしているのかが終盤までずっと疑問で。最後までプレイしても、理由に納得してスッキリしたとはいえ、やっぱり趣味悪いなぁとしか思えないのでした。
それに、ヒロインの個別ルート(エンド)が少し物足りなくて。特に映瑠先輩はもっとダブルヒロインに近い立場かと思ってたんです。
エピローグ関連のわかりにくさも愛生に集中し過ぎたせいかも。
間違いなくストーリーの中心は愛生なのに、考察が必要な部分には愛生あんまり関係無いというのは……w でもこの辺りは作者の意図通りなのかなぁ。
せめて思わせぶりな幻聴だけはもちょっと説明が欲しかった。
各章のエピソードや各エンディングのお話自体は単純に面白かったです。その辺はさすが実力と実績のあるライターさんと言うべきか。
選択肢の存在がエロゲをゲームたらしめる(数少ない)要素でありますが、この『セミラミスの天秤』はその選択が及ぼす影響をこれでもかとプレイヤーに突きつけてきます。揺れ動く天秤の針で視覚的に、登場人物の未来で精神的に。
このゲームをプレイすることで得られる独自の体験、楽しみは、この部分によるところ大きい。
シナリオに絡めた要所要所の演出も地味に配慮が行き届いており、シナリオとシステムの統合、ディレクションのクオリティはかなり高く感じました。
それにクラスや部活といった作品内世界の雰囲気作りが上手くて、特に部活、占術研はすごく良い空間。愛生の来る前の毎日PCゲーで遊んでいる謎部活の時も、愛生が来た後も、そりゃ皆気に入るよねって感じの居心地の良い場所。
そこに主人公の存在意義とかまた何か深いことをつい考えてしまうアレだけれど、それはさておき、映瑠先輩と芙美香好き。
キャラクター
芙美香>映瑠>>>カコちゃん>塔子=直緒>愛生
芙美香が実にかわいかった!
シナリオゲー? 考察?
芙美香がかわいい、それでいいじゃない。自動販売機でジュースを買おうと背伸びする芙美香だけで元は取れるよ。(真顔)
うさぎさんのパジャマを着ちゃうお子様から大人の女へと成長する転換点、そんなお話も面白かったし芙美香かわいい好き。
映瑠先輩も素敵。年上貧乳美人っていいよね!
この人は本当に聖女でございますね……。善は悪に勝てないとしても、善は善でいてほしい、そう思わせる人。現実離れした破滅の正義感もそれはそれで愛おしい。
性質がコアゲーマーなところがツボです。ゲーマーお姉さんヒロインの時代が来るで。(願望)
個別シナリオが短くてしょんぼり。ガッカリ度でいえば作中一番でした。でも映瑠先輩は好き。
よし、芙美香と映瑠先輩と3人で結婚しよう!
結婚といえばカコちゃん28歳、結構気になる存在なのに完全にサブキャラでぐぬぬとか思ってたら外伝小説『エンキドゥの虚』のヒロイン(?)だったでござる。そっちかー!
直緒は一番普通っぽくて、濃いメンツの中ですごく爽やかな存在。
途中まで完全にサブキャラレベルの存在感しか無くて首を傾げていたら唐突に仲間入りして、なんだか嬉し楽しいゲスト感。最初からヒロインオーラ全開とかじゃなくて、途中から急接近するのもアリだなぁ。
塔子はオアシス枠。かと思いきや枠。
ボイスが超平和でいいよねー。頭とろけるよ~。
寝ぼけ顔が相当ひどかったw こらそこの美少女ヒロイン、しゃんとして! よだれよだれ!
塔子の個別エンドはもうちょっとクドくしてもよかったんじゃないかしら。
そして悪魔・愛生さん。
かなり面倒くさいヤツで、正直苦手なタイプ。コミュ力最強の世渡り上手系ヒロイン。
たぶんライターは「かわいい」と思わせようとしていなくて実際かわいくなかったわけですが(暴言)、良いキャラではありました。個別はさすがにグッとくるしね。
愛生とのエッチは実にエッチで、その点に関しては紛れも無くナンバーワンです。エッチではナンバーワンです。(大事なこと)
サブキャラも豊富。サブ同士でくっついたりヤったりするのが新鮮でした。
そういえば、悪役はえらいカッコ悪かったね……。悪役のカッコ良さを求めるお話ではないので別にいいけれど、どいつもあまりのダメっぷりが気になったw
CG
のり太さんはおしり絵師……おぼえましたし。(断言)
今まで食わず嫌いしてたのが、今回ついに守備範囲内に入ってきて意気揚々と購入、そしてクリーンヒット。自販機の芙美香は神がかり的かわいさ。HCGはロリすぎたけどもw
愛生の連戦Hも実にエロかった。大変エロかった。(・ω・)b。
ブラの外れ方が素敵だったり、下着が凝ってたり。小道具も良い感じです。
声
愛生役の桐谷華さんは貫禄出てきましたねー。
映瑠役の夏埜ゆめさんも大変お綺麗で素敵でした。安定の青山ゆかりさん、メインで遭遇したのは超久しぶりの頭とろける佐々留美子さんもさすが。メインキャストは鉄板でございますね。
システム
スキップが遅い。
この作品は比較的攻略難度が高く、コンプリートにはある程度試行錯誤が必要です。選択肢を排除した「ダイジェストモード」機能ではBADエンドや寄り道が見られないため。
それなのにスキップが遅いということは、ストレスに直結してしまうのです。
じゃあ「次の選択肢へ」を使えば――
ってこれも遅っ!? あッ、しかもコイツ未読部分も飛ばしてやがる! それも既読フラグを付けながらだとぅ!? イヤーッ止めてぇ!
↑という悲劇に見舞われる罠も有るよ?(半ギレ)
作品形式との相乗効果で、スキップ関連の不便さは相当なマイナスです。普通にマナーの良い「次の選択肢までジャンプ」さえあれば何も問題無かったのに……!
オマケ的要素として、たまに注釈が表示される演出有り。
難しい言葉が出てくるし、面白いといえば面白いのだけれど、別にあっても無くてもいいかな。
まとめ
「良いものを、完全には作りきれなかった」という印象。
凝ってて面白いのにノリきれないもどかしさを強く感じました。
もっと本気でストーリーを読み込んだらまた違うのかもしれないけれど、そこまでする気が起きないですし。それ以前にスキップが遅いから周回するのしんどいですし。小説ではなくゲームならではという形は出来てるのに、色々ともったいない。
まぁ難しい事は放り投げてライトな娯楽として見れば、なんだかんだで面白かったし、先輩と芙美香がかわいかったので特に問題はありませぬ。一定の満足感はありました。
今回はあまりノリきれなかったけれど、同スタッフの他作品には興味がわきました。次回作も企画してるっぽいし、過去作に手を出しながら待ってみようかしら。
芙美香と映瑠先輩と一緒にパジャマ姿でネトゲする外伝マダー?(・∀・)

>>レビュー目次へ
22:40
レビュー
| Comments(0)
Comment