2015/01/05
アマカノ 感想
![]() ![]() | 『アマカノ』あざらしそふと 発売日:2014/12/19 ☆☆☆☆ |
あざらしそふとのデビュー作『アマカノ』クリアしました。
総評
雪国で、はしたない恋をしよう (キャッチフレーズ)
本作のテーマはヒロインとの一対一の恋愛。
主人公の名前変更が可能で、ヒロインからの呼称も「センパイ」「後輩くん」「あなたさま」と今時珍しい自己投影型のエロゲです。
そのため、三人称視点で物語を楽しみたい派は呼称等に不自然さを覚えるし、逆に感情移入したい派はHシーンで他人の名前を叫ぶヒロインを見て萎えずに済んで大勝利。これは好みの分かれる部分ですね。
また、何か凝った設定に沿って物語を展開するのではなく、ただただ主人公とヒロインが恋に落ちていちゃいちゃするお話なため、シナリオはヒロインとの恋愛のために存在します。まさに恋愛ゲームそのものといった潔いコンセプト。
もう一つの見どころはエロ。
エロいよ。(直球)
ほぼ毎回連戦するし、ヒロインはとろけまくりの乱れまくり。公式で「真実のラブストーリーがいまここに」なんつってますが、この作品の最も熱を感じる部分はエロです。エロスです。なんだかちょっとロマンチックな雰囲気を醸し出し、可愛いヒロインとの甘酸っぱい恋愛を丁寧に見せておいて、結局やることはエロなんです。
つまり、とても良いエロゲである。
この作品に何かを期待したのならば、きっとそれは裏切られることはないでしょう。全体のバランスが良く安定感があり、万人におすすめできる良作でした。
――以下、ネタバレ無しの長文感想へ続く。
シナリオ
ひたすらいちゃいちゃするゲームと言いました。ではいわゆる「いちゃラブゲー」なのかというと少し違う気がします。
確かにいちゃいちゃシーンは山のように存在するものの、優秀ないちゃラブゲー特有の「ひたすらニヤニヤ」「甘すぎて叫びたくなる」「死にたい」といった反応が(私には)現れませんでした。
その理由はおそらく本作のいちゃいちゃ描写が「いちゃいちゃシーン集」になっていること。定番のあーんをしたり、ラブラブメール交換をしたり、くっついて愛を囁いたり、いちゃいちゃシーンには事欠きません。
しかしそれはあくまで「いちゃいちゃしている」描写でしかないのです。読み進める分にはわかりやすいし、それが特に問題というわけではありません。でも、そんな教えられたことをなぞるかのようなやり取りの繰り返しに情緒を感じることは少なく、相手のことが好きで好きでこいびとどうしでいることが嬉しくてたまらんのだ! というキャラクターの気持ちが伝わってこない。
良いいちゃラブには、心の触れ合いと、それによるお互いの変化が重要です。もっと言うと、「二人で」共に昇華していくような、心の距離の近さや重なりといったものが必要とされるのです。
その点で『アマカノ』は明らかに物足りなかった。
ただ、主人公を自己投影型にした影響は大きいかもしれません。どうしても主人公の内面を掘り下げるのは無理があったというか、あえてそうした可能性も。いちゃラブゲーって基本的に第三者視点で見るものな気がしますし。
と、ここまで『アマカノ』感想にかこつけた保住圭信者の自己主張でした。(満足)
↓ここから本文
『アマカノ』のシナリオはほぼ完全にヒロインのためにあり、何か面白い話を見せるものではありませぬ。欲張って中途半端なことをしない姿勢、オーケーだよ。
巫女姫との恋愛の前に立ちふさがる神社の事情。卒業による別離が間近に控えている先輩との恋愛。
特に何か事件やトラウマを持ってこなくても、自然に障害が存在し、それにきちんと丁寧に取り組んでいく。(こはるはお菓子作って食べてただけな気がするけれどw)
読みやすく、わかりやすく、大きな事件や問題も無いのに平坦すぎない。見せるべきは二人の恋愛。
「いちゃラブ」についてあれこれ言いましたが、恋愛ものとしてよく出来たシナリオだったと思います。田舎の雰囲気も暖かくてほっこりしたし、友人他脇役の存在も心地よい。
ただ、友達になってから付き合うまでがあっさりすぎた感はあるかな。
紗雪に至ってはほんとに色々飛ばしすぎw まあ紗雪というエロゲらしいヒロインのストーリーはこれくらい強引で丁度良いかも。
あと特徴的なのが「Another View」=ヒロイン視点の存在。
基本的にこれ野暮なんですよね……主人公が知り得ない部分をさあどうぞとばかり見せてしまうのって。いちいちアイキャッチが入るせいもあり、テンポも悪く感じる。今回のAnother Viewはちょっと多すぎた。
キャラクター
紗雪>こはる>聖
ぼくはあなたさま!
間違えた。ぼくは紗雪ちゃん!(´∀`)!
聖もこはるも、比較的こういう子いるよね的な個別ルートで等身大のキャラクターでした。でも紗雪は違う。
カッ飛んでますw 箱入り巫女お嬢様、純真で天然、奉仕精神溢れる聖女、あなたさま呼び……そして超美人。リアル女子が見たら鼻で笑いそうな二次元特有の属性満載! そこに痺れる憧れる!
紗雪のだんなさまにおれはなる!!
こはるはプレミアム感溢れる他二人と違い、親しみやすい田舎娘。ちょっぴりふとい。
ぺろぺろ好きなところがエッチです。おっぱいもでかい。
毒の無い明るい良い子で、両親に愛されて育った感じがよく出てました。
ひ……聖先輩は意外性のあるヒロイン。先輩だけど甘えたがり、いいと思います! 一番「アマカノ」っぽいヒロインかも。
でも甘えたがりな性格がかわいいを通り越してアウトなレベルに達していて個人的には苦手。いやまあカワイイんだけど……面倒くさいw
CG
俺達のピロ水さん絵は今回も超安定。塗りもピロ水監修ということで安心のクオリティです。
聖の髪型があまりにも無重力だったことを除けば、文句無しでございますよ。
開脚差分あったよ! やったぜ!
1回だけだったのは残念とはいえ、期待していたので嬉しい。やっぱりピロ水原画作品といえばはしたない開脚だよね。ディレクターの趣味なのかどうかわかりませんが断然支持したい。
SD絵も数は少ないながら賑やかでかわゆい。
声
「あなたさま」「だんなさま」「あなた」「センパイ」――
脳内でリフレインするのは主人公の呼称の数々。最初は「あなたさまてwww」とか笑ってたのがいつしかあなたさま中毒に……(ポワワ
違和感があるのは確かではありますが、なんかクセになるよこれ! マジで!
ちなみに私はだんなさまよりあなたさま派です。
実力と実績のある木村あやかさんと真中海さん、2014年大ブレイクした秋野花さん。お三方とも大変甘くて素敵なお声でございました。
出番の多い脇役にもボイスつき。クラスメイトのユダが地味に良かったですw
どうでもいいけど、シブにも主人公にも裏切られてるユダ……不憫な。(笑顔)
H
HCG率は5割、回想枠は19。(アペンドパッチ含まず)
フルプライスより1000円安い価格、アペンドパッチによりHつきアフターストーリーが各ヒロインに3回ずつ追加される、といった点からボリュームは少し多め。
一番印象的なのは基本的に連戦なことw 2回戦がデフォ。一発出して終わるなんてあり得ないとばかり続けて射精、まるでRPGの「二段斬り」的なスキルが通常攻撃になってる状態の強キャラです。
二段斬りを喰らって大量のぷりぷり精液にまみれるヒロインのいやらしい姿の連続が圧巻。アヘ顔チックなとろけ顔も見せてくれるし、終いには目がハートマークになってしまう。
ついでにオプションで陰毛も生やせます(笑)
プレイ内容はノーマルなラブラブH。変わったものといったら野外とアナルと髪コキくらいか。
いちゃラブのくだりで気持ちが伝わってこないと言ったけれど、エロに限っては実はそうでもないw 熱いラブエロ描写が繰り広げられます。卑語淫語もガンガン言っちゃう。(軽い消し有)
ライターの本気は明らかにエロに集中しておりますよこれ。
H関係のSEが無い、BGV(バックグランドボイス)が無い、挿入後の体位変更が無い、といった点は人によっては物足りないかも。
システム
場所を選択してヒロインの好感度を稼ぎ個別ルートに突入するタイプ。
同時攻略しようとすると好感度が足りずにバッドエンドを迎える羽目になります。ハーレムは許されなかった。
変わった点として、好感度が100%に達した後の一定期間はいつでも告白できる自由があります。即座に告白すれば早くに恋人になっていちゃいちゃできるし、ずっと保留していればヒロインのもどかしがる姿が堪能できる。
好感度確認画面(「アマカノグラフ」)も含め、無くても全く問題無いけど、あれば楽しみがちょっぴり増えるシステムでございますね。
演出面では、立ち絵のコミカルなギャグ表情が多すぎないほどよい頻度で好感触でした。
ハテナ浮かべてるこはるがかわいいw
まとめ
パッと見では純愛萌えゲーに見えますが、それはフリです。出会いから始まるキレイな恋愛を一つ一つ組み立て、見事恋人同士になり舞台が整ったら、ここぞとばかりに繰り広げられるエロに次ぐエロ。スッキリしてエンディングを迎えた後は、アペンドパッチによって再度エロ。
アマカノというエロゲは、ひたすらにはしたないラブストーリーでした。(笑顔で親指を立てながら)
暖かくて、真摯で、全体的に好みな雰囲気でそしてはしたない。おまけに「あなたさま」などの変な要素もあってかなりの俺得ゲーでした。
よくまとまっているし、取り立てて欠点の無い優等生的な作品なので、和姦が好きなえろげーまーなら誰にでも薦められます。
はしたないエロのための準備、つまり最初のHまでが長いのだけは注意かな。
2014年の締め括りにふさわしい、良い雪国エロゲでした。
ロマンチックな次回作マダー?(・∀・)

>>レビュー目次へ
23:09
レビュー
| Comments(2)
ゆず茶さんの感想と言えば
「ロマンチックにはしたなく」からファンになったので
今回もやっぱり言及されていて心がほっこりしました。
> ひたすらいちゃいちゃするゲームと言いました。
> ではいわゆる「いちゃラブゲー」なのかというと
> 少し違う気がします。
では、なんなのか?
アマカノの好みはここで分岐する気がするんですよね。
私は逆に
あ~ん、だったり
ラブラブメール、だったり
定番のイチャラブと見せかけて
それが少し定番とは異なる感覚を持ちました。
それはこのゲームが
ヒロインを下からのフレームで描いて
パンチラさせまくったり
ドついてピヨピヨさせたり
そうした所謂「萌えのお約束」から離れた
ややリアル寄りの世界を
目指していたからなのではないのかなあ……
と思ったりしてますです。
そういうお約束なしの世界で
現実にもなかなかレアな
あ~んをされると
やっぱり破壊力は変わってくるのではないでしょうか。
まぁつまりイチャラブもいいけど
エロもいいよね!
ってことですよね!
謎文脈で失礼しました。
作中でも「はしたない」が何度か出てきてニマついたり。はしたないは正義!
> ややリアル寄りの世界を
> 目指していたからなのではないのかなあ……
おぉ……鋭い指摘。ありがとうございます。
リアル寄りの、実際にあるような恋愛を描こうとしたのかなとは私も思いました。
でも、それを主眼に置くと、ちょっとチグハグなんですよねこの作品。紗雪ルートは明らかにフィクション寄りだし、主人公は名前変えられるわりにCGに顔を出すし、非現実的な大量の精液が飛び交うし……
いちゃラブについても、確かにお約束的なあざといシーンは少ないですが、やっぱりリアルな触れ合いというよりは「見せる」ためのシーンという印象があり、また毒を排した優しい物語なこともあって、現実感は強くありません。
まとめ方に迷って記事ではこの辺りについてのことは全カットしましたが、「自己投影型」「リアルな恋愛を体験」という点では中途半端な出来だと思ってます。
ではアマカノとは何なのかというと、「はしたないラブストーリー」だなと。いちゃラブに悶えたり、恋愛シミュ的な楽しみ方をするゲームではなく、落ち着いたラブストーリーを土台にしたエロを楽しむエロゲ。
少しリアル寄りにしたのは田舎の雪国の雰囲気によく合っているし、主人公の名前変更可にしたことは例え中途半端でも「あなたさま」でお釣りがきますw
と、やけにとっ散らかってしまいましたが、何はともあれ楽しめたから満足なのです。はしたなくてあなたさまで。
エロっていいよね!