2015/03/05

シルヴァリオ ヴェンデッタ 感想


シルヴァリオ ヴェンデッタ 初回版
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『シルヴァリオ ヴェンデッタ』


light
発売日:2015/2/27


☆☆☆☆☆

シルヴァリオ ヴェンデッタオールクリアしました。
(→BugBug アペンド感想へ

総評

最高レベルの大当たりきたこれ。

熱い、派手、心震える。
これほどわかりやすい魅力があるだろか。燃えゲーと呼ばれる18禁PCゲーム、それに求められているものを思いきり詰め込んだ玩具箱。期待した以上の興奮と満足感を与えてくれました。

「総じて良作であるものの欠点が無いわけでもない、しかし体験版を試してみて拒否反応が無ければ筆者としてはおすすめしたいと思います」などと、逃げ道を用意しながらもっともらしいコメントをする無粋は今回は止め。言うべきは一言――

最高に楽しかった!
絵・シナリオ・音楽全て良し。問答無用で買ってプレイすべき傑作です。

さあ、”逆襲”を始めましょう。

――以下、ネタバレ無しの長文感想へ続く。
シナリオ

ネタバレ全開にして溜まったものをブチ撒けたい衝動に駆られるのだけれど、本作はネタバレ厳禁、ネタバレした者は死あるのみ。公式のムービーなんてオールクリアするまで断じて見てはいけない。あのOPムービー作った奴はネタバレされても動じない鋼の心の持ち主に違いないから。
予備知識は極力排して、訪れる展開にいちいち「うおぉ!?」となるのが正しい楽しみ方です。
ゆえに以下は表層部分だけをさらった浅薄なエンジョイ系レビューに他なりませんが、まあそれっていつものことだよね!


「星光(アストラル)」とその関連技術、過去の惨劇と怪物、稀代の英雄、帝国内外の政治関係、登場人物たちの事情と愛情、そして「ヴェンデッタ」なる謎の少女――作品内に散りばめられた一見まるで関係無さそうな多種多様な事柄が、物語と共に収束していく。この部分はさすがVermilionチームです。先が気になってぐいぐい引き込まれる。
複雑そうに見えて実は頭空っぽにしてても問題無く楽しめるわかりやすさがまたありがたい。

体験版をプレイした時からオールクリアまで終始強く感じたのは、熱量
メインライターの高濱亮さんの実質的なオリジナル企画としてのデビュー作、やりたいことを存分にやり遂げたとのことで、ゲームからそれがビシビシ伝わってきます。ラストバトルとかとんでもないぜ。まさしく魂の作品でございますね。

また、全体のボリュームと個別ルートのバランスも非常に良い。長すぎず短すぎず、個別の展開はそれぞれ完全に別方面に向かって飽きさせない。真ルート扱いのヒロインが話の犠牲になってるとか、他の2人が前座扱いとか、そういうありがちな残念さもまるで無い。これは地味に大きな長所。


バトルは1vs1でお行儀よくバトって終わってハイ次回は何日後、みたいなぬるい安定感が無いのが特徴的。談笑してたら突然襲われる。タイマンしてたら横槍が飛んでくる。窮地に陥って死亡寸前で覚醒しさあこれからというところで敵前逃亡。超カオスw
そしてラストバトルは何だアレ! もう熱いとかカッコイイとか通り越して笑えるわ!

好きな戦闘シーンは、チトセルートのマルス戦、チトセが戦うシーン全般、ミリィルートの最終戦、ヴェンデッタルートの後半~ラストバトルまで全部。多すぎますね。(゚Д゚)。
ラスボス戦はもう大変な大盤振る舞い力押し。仲良すぎですし!///


この人は心底燃えゲー好きというか中二病なのだなあという人間の「ぼくが考えた最高に燃える展開」が目いっぱい詰め込まれ、それがうまいこと良シナリオに仕上がってるんだからたまらない。超面白かったー!

キャラクター

ヒロイン3人は皆等しく素敵。1人選べと言われても選べない。逃亡します。(死亡フラグ)

ミリィはマジ天使。気立てが良く勇気があって可愛くて……これはシスコンに堕ちるのもやむなしだ。
戦闘力の無い民間人ながら最後まで存在感が失われなかったのもよろしい。ミリィもちゃんと立派に輝いているよ偉いよミリィ。

チトセは……てっきりヤンデレだと思ってましたスミマセンでしたー!(土下座)
いやだっておかしいだろ! 裏切られた相手を前に武闘派がすることといったら、普通に考えて復讐とかそっち方面だろ! なんで乙女になってんの!?
Vermilionのアリヤみたいなタイプかと思ったら真逆の方向にカッ飛んだでござる。超素敵
しかもバトルシーンがいちいちカッコいいんだよね……行動原理も戦いぶりも全てが。ぶっちゃけ最初にプレイしたチトセルートで終わってても作品評価は変わらなかったと思いますw チトセは最高に男前なイイ女。チ○コを取り除いた服部代表に感謝を。

ヴェンデッタ。その身にネタバレを秘めし銀髪の少女。
これまた予想外、まさかこのゴスロリがオカン属性とは思わなかったぜ……。叱られたい。ウゼーなお前は俺のオカンか! と内心思いつつ優しくお説教されたい。木村あやかボイスの罵倒と見下してる立ち絵がほんのりツボな私はルシードの同類でしょうか。
謎に関しても、あーやっぱりって部分とマジデ!? となる部分と両方あって奥深いヒロインでした。


主人公ゼファー。自虐癖の無職ダメ男。
わかりすぎるほどわかる凡人主人公だけに、覚悟を決める場面が胸を打つ。弱い人間に弱さを直視しろとかいう鬼畜の所業、ゼファーさんよく頑張ったね……(´;ω;`)
人でなしだけどw 決してヒーローではない、良い主人公でした。

ヴァルゼライドはこんな完璧な英雄見たことないってくらいの英雄。民のためあらゆるものを一身に背負い、物語冒頭から「涙を笑顔に変えるのだ」なんてキメてくれちゃって。今日日テイルズ主人公すらドライだというのに、少年の夢を決して裏切らない人類の模範たる完全無欠の主人公……じゃなかった、脇役だ。おかしいな。
個人的にはゼファーより総統閣下の方が好きだったりします。そりゃまあ英雄なんざ人としてどっかおかしいってゼファー達の言わんとすることはわかる、わかるけれど。
それでも男は英雄に憧れるのだ。(決め台詞)
ヴェンデッタルートのラストは大好きです。総統が主人公の外伝はよ。

本作の涙腺狙撃班、ルシードもすごく良かった。ここまでグッとくる奴だとは……第一印象の「ぅわキモッ」からは考えられない。(遠い目)
ついでに総統へのツッコミもナイスだ。

アルバートのおっちゃんもいい味出してる。料理屋だけに
ヴェンデッタに気に入られて罵倒されるおっちゃんが好きです。

サヤはまさかのオアシス枠。だって他のキャラが個性強すぎて、「なるほどガチ百合か」から一貫して変わらないわかりやすさに謎の安心感が芽生えてしまいw お姉さまとのエロを追加するサヤ救済パッチはよ。

エロといえばイヴがエロかった。( ゚∀゚)o彡°。
あとウラヌス(CV:真中海)にもエロ欲しいですね……。どう考えてもマトモなものにならなさそうだけど、それでも……! ダメなら別にグロでもいいのよ。(震えながら)

袋小路くんことアスラ・ザ・デッドエンドさんは思ったよりハジけなかったかな。もっと縦横無尽に引っ掻き回すどこかのバーテンみたいな奴かと思ってた。でもカップリング相手(♂)とセットで見ると満足。
マルスさんは期待通りの敵役。私もまんまとハメられた組ですw おのれー。


と、長々と言及してしまうほど各キャラすごく立っていて魅力的でした。
がしかし、逆に言えば充実しすぎているとも。無駄や遊びが無いんです。
少なくないキャラクターをこうも上手く動かしたのは見事、ただ欲を言えばどうでもいい役も欲しかった。でないと作品全体がカツカツに見えて少しだけ落ち着かない。そこだけは気になりました。


この人しかいない! って配役ばかり。素晴らしい。
特にヴェンデッタ役の木村あやかさんはカチッとハマって全くブレなかった。この人のオカン役はヤバイ。またどっかでやってほしい。(ファン)
チトセ役の民安さんの演技も新鮮でした。こういうのも断然アリだなあ。あとチトセは色んな人に演じてもらいたい感がある。

そして何より、ルネッサンス山田ボイスは卑怯だよね。ただの挨拶聞くだけで笑えてくるんですけど!
できればHシーン中もルネ山ボイスが流れて邪魔されておのれーってなるプレイを楽しみたかったところだけれど、まあここはお気遣いありがとうと言っておこう。

CG

原画はKeGさんと夕薙さん。
ゼファーと総統閣下はちょっとだけ不安定。でもカッコイイから問題無い。塗りも超綺麗ですし!

戦闘シーンは派手で見栄えがするし、女体は実にエロい。CGクオリティはプレイしたlight作品の中で最高だと思います。
チトセのCGが特に好き。事前にムービー見なくてよかったと心から思いました。(゚Д゚)。

音楽

コーラス入りBGMきたこれ! おかげで雰囲気すごい。
"冥府の花嫁"なんかの日常曲はかわいいしバトル曲はどれもこれも超燃える。"煌めく星光"はコーラス入ってないバージョン聴いてみたいかも。
とにかくサントラはよ

システム

演出はすごく頑張ってる。回転・拡縮を駆使したりエフェクト使いまくりだったりで様々な工夫が見られ、戦闘シーンでの見た目のインパクト大。よいものです。
あえて細かいことを言えば回転演出は使いすぎです。何でもないシーンで画面傾けなくてもいいよw 逆に不自然だよ。

ただ、やっぱり1,2枚のCGをベースにあれこれしてる関係で、どうしても変化に乏しいのが惜しい。
戦闘をテキストで見せる以上これは仕方のないことかな。アニメや漫画のように絵と動きで魅せるわけにもいかず、純粋なノベルほど割り切ることができない、ビジュアルノベルの宿命か。

システム・コンフィグ面は言うこと無し。バグにも遭遇しませんでした。
肝心な場面で誤字が目立つ点だけはマイナス。

まとめ

中二系能力バトルADVの傑作です。
少年漫画が楽しめる感性の持ち主ならば万人におすすめ。少しでも気になるなら即買い推奨。

同ブランドのDies iraeと少し似ていて、面白さも負けてない。というか個人的には上回ってすらいる。
ただあれと比べると「遊び」が少ない気はします。キャラをいじって妄想したり脳内で勝手にキャラが動いたりみたいな、そういう玩具にしにくい部分は感じる。その分一つの完成品としてカチッと安定してるとも言えるのだけれど。

ともあれ、ほんと面白かった! 大満足でございますよ。
先の読めない展開に怒涛の如く押し寄せる衝撃の数々。静と動のメリハリもよく、ルネ山ボイスで笑わせたり18禁ならではのあれこれも有り。
ヒロインは可愛くてカッコイイし野郎共は熱くさせるしで、一つのエンターテイメント作品として最高に楽しませて頂きました。

既に構想があるらしき続編マダー?(・∀・)

『シルヴァリオ ヴェンデッタ』応援中!


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22:04  レビュー | Comments(0)
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